血管内エコー法(IVUS)では,以前より病理学的分類としての線維性hard plaqueと脂肪性soft plaqueに対応させるかのように,プラークのエコー輝度に応じて高輝度のものをhard plaque,低輝度度のものをs o f t p l a q u e とする分類が用いられる.しかし,著者らの検討によれば,プラークの線維領域および脂肪領域が,それぞれ必ず高輝度,低輝度に描出されるわけではなく,かなりの割合で逆に描出されうることが判明した。また,IVUSの機種によって画像が有意に違うことや,プラークの物理的硬度と比較しても低輝度ほど"soft"であるわけではないこともわかった.この限界を克服するため,これまでにRF信号を直接スペクトル解析する方法などが注目されているが,著者らはFractal解析やプラークのエコー輝度が超音波入射角度に依存性であることを利用して,組織性状を推定する方法を提唱してきた.その中で画像のFractal次元が線維領域で有意に低いことや,エコー輝度の超音波入射角度依存性がfibrous capに特に強く認められることが判明した.これらの画像処理法は,今後プラークの不安定性の定量評価に応用できる可能性を示唆していると考えられた.その他,三次元や長軸再構築像などを含めてIVUS技術は年々革新しており,動脈硬化プラークの組織性状診断の分野におけるIVUSの新たなる未来が期待される.